
英語の勉強を始める時はまず最低限の英単語を覚えることは大切です。
しかし、久しぶりに英語に触れてみると学生の時のようにはいかず、単語を覚えるのが苦痛に感じる方も多いです。
社会人の英語に必要なのは、試験で点数をとることではなく実践に役立つ覚え方です。
そこで、ベルリッツのレッスンで実際に教えている英単語の覚え方を自宅学習用にアレンジしたものをご紹介します。
単語帳を使って丸暗記するような練習法ではなく、実際に単語を使えるようになるための練習法なので、「単語を覚える」⇒「話したくなる」という良いサイクルが生まれます。それでは、早速始めましょう。
1. 英単語力を伸ばすために知っておくべき2つのこと
英会話ができるようになるための英単語の覚え方を知る前に、なぜ丸暗記では意味がないのかお話します。
単語の丸暗記では本当の英語力が伸びない
今までの覚え方だと、
- “Apple”は「アップル」と読む
- 「アップル」の意味は「りんご」
- 「りんご」は「赤くて丸い果物」
というように、頭の中で、”Apple”を日本語の「りんご」に変換して、次に「りんご」をイメージするという3つのステップを経て、英単語を理解するという形になっています。しかし、いちいち、この行程を踏んでいたら会話は成り立ちません。
英会話では、”apple”と聞いて、すぐに「赤くて丸い果物」とイメージできる思考回路が必要なのです。
英単語力アップのカギは「イメージ」と「シチュエーション」
その思考回路ために重要なのが英単語に対するイメージとシチュエーションです。イメージとは「英単語からダイレクトに意味や示すものを想像できること」です。
たとえば、日本でも日常的に使っている”pen”という単語はすぐに「字が書ける文房具」と想像できますよね。”note”も、いちいち「帳面」だから「紙が束状にまとめられているもの」という理解の仕方はしません。
このように、「英単語だけで瞬時に意味や示している事がわかる」ものが増えれば、言葉を聞き返したりせずとも、すぐに相手の意図をくみ取ることができるようになります。
また会話では「シチュエーション」も欠かせません。
ただ単語を覚えただけならば、例えば「それをとって」と伝えたい時、この場にふさわしいのは”Take it please.”と”Pass me please.”のどちらなのか迷うと思います。しかし、どういう場面・どういう流れでこの言葉が使われていたのかを知っていたら、すぐに相手に伝えることができます。
2. 要領よく単語を覚える5つのステップ
単語を覚えるのには“イメージ”と“シチュエーション”が大切ということは理解できましたでしょうか?とても大切なことなので絶対に忘れないようにしておいて下さい。
それでは、具体的にどう学習していけば“イメージ”と“シチュエーション”の中で効率よく覚えられるのでしょうか?
ここでは、そんな疑問にお答えする5つの練習ステップを紹介していきます。一つ一つはとても基本的なことですが、確実に大きな違いが出ます。
STEP1.興味のある記事や物語などを読む
まずは自分の興味のある英文を読んでみましょう。海外のスポーツ記事や物語、ダイアログでも構いません。興味があるコンテンツならば、モチベーションが下がらずに続けられますし、楽しく学んだことは印象にも残りやすい。まさに、一石二鳥なのです。
STEP2.分からない単語をピックアップ
知らない単語や、意味がわからなかった単語をピックアップしていきます。英単語は”staff(職員・杖)”のように、同じつづりでも全然く異なる意味を複数持つものもあります。自分の知っている意味で読むと文章がおかしくなると感じたら、その単語もチェックしておきましょう。
STEP3.単語の意味を『英英辞典』で引く
先ほどピックアップした単語を辞書で引いてみましょう。ここでのポイントは『英英辞典』を使うこと。例えば”apple”であれば、英英辞典には”a hard round fruit that has red.”などと書いてあります。「赤い」「丸い」「果物」というイメージを、英語のまま覚えることができるのです。また、説明の中で意味がわからない単語があれば、そちらも英英辞典で引くことにより、関連付けて覚えることができます。
もし、英英辞典が難しいと感じるならば、単語の意味を視覚的に覚えることができる『ピクチャー・ディクショナリー』を使用しても構いません。大切なのは、単語の意味をすぐにイメージできるようになるということです。
STEP4.単語帳、ノートに書く
調べた単語の意味は、単語帳やノートなどに転記してください。できれば、ノートや鉛筆などのアナログツールを使うことをおすすめします。実際に自分で書くことで、頭だけでなく体に覚えさせることができるからです。
STEP5.反復練習
単語帳やノートに転記した内容を通勤時間などに繰り返し見返したり、声に出したりしてみましょう。反復練習によって、覚えた単語をしっかりと記憶に定着させていくことが重要です。
3. 三日以内に繰り返しの復習を
「エビングハウスの忘却曲線」というものをご存知でしょうか?
人は単調に覚えたことだと翌日には半分、3日後にはほとんど忘れてしまう・・・ということを、グラフにまとめたものです。

<エビングハウスの忘却曲線>
図でも分かるように、せっかく多くの英単語を覚えても、人はすぐに忘れてしまうのです。では、どうすれば忘却の速度を緩められるのでしょうか。
それは「反復練習」に他なりません。翌日、つまり24時間後に半分忘れてしまうのならば、24時間以内にもう一度記憶して、定着させればいいのです。最初にきっちり覚えておけば、以降は3日後、1週間後と復習の頻度を下げても大丈夫です。
また、「エビングハウスの忘却曲線」は、意味のない単語を単調に覚えさせた時の図ですから、覚える英単語に“イメージ”や“シチュエーション”が加われば、グラフほど急激には忘れることはないでしょう。
まずは、ご紹介した5つのステップで楽しく英単語を覚えてみてください。そして、通勤時間などのちょっとした時間に反復練習!これを1年ほど続ければ、標準的な英単語はおおよそカバーでき、英単語に付随するフレーズも合わせてマスターしているはず。
さらに、単語とイメージをセットで覚えるので、会話中でもスムーズに単語が出てくるようになりますよ。
さぁ、英語が使える理想の自分に向って一歩踏み出しましょう!